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【胃の上大将の佐渡島屁の満:前編】

 待望の9月4日がついに来た。 思えば、昨年マイティに入り、半ば勢いで佐渡Bタイプへの出場を決意。 浮かれ気分でスタートに立ち、一番自信のあったバイクパートでまさかの 猫ふみ落車。 右肩鎖間接(けんさかんせつ)骨折。 生まれて初めての、骨折、入院、手術を経験した。 とても悔しかったが、相手が猫だけに恨みのぶつけ先もなく・・・ 右腕が真っすぐ上がる様になるまでの3ヶ月間は公私ともに非常に苦しい 日々を過ごした(リハビリ中の頃


 年が明けて2004年。 離婚、再婚という人生大転換の出来事もあった。 でも、この一年間の僕の心は間違いなく9月5日の佐渡への想いが基軸になっていた。 去年とは異なり、トライアスロンを意識した複合種目トレーニングを多く取り入れていった。 バイクにもシロモトエアロバーを装着。(今ではDHバーは手放せない。)

 練習環境も追い風であった。 「チームジャージの作成」、 「自転車保険への加入義務付け」、 「宮古島アイアンマンジャパンへの多数出場」、 「TJ誌連載企画へのチームメンバ参加」 「新規メンバの加入」等々、マイティ・トライアスロンクラブは、モチベーション、 モラル、知名度、もろもろ、非常に活気のあるいい雰囲気になっていた。 僕もその追い風に乗って佐渡を目指した。


 7月、僕にとっては佐渡の前哨戦ともいうべき「野尻湖カップ」に出場した。 過去にスプリントやデュアスロンへの出場経験はあったが、本格的なトライア スロンは、実質初参加である。 結果は惨敗。ランでの大失速。 アフガン駅伝での手ごたえから、ランにはそこそこ自信があったが、トラ最終 種目でのランの厳しさ!!!見事に洗礼をあびた。 で、課題が見えた。疲労時の走力強化である。 速さも大事だか、それより強さである。
・あえて身体が動かない早朝のランニング。
・バイク及びローラー台で足を使った直後のランニング。
とにかく、ラン、ラン、ラン。ランニングを重視した。 幸い、悩みの種だった「膝の痛み」も野尻湖以来生じなくなり、走る楽しさが 増していった。
 勝浦合宿、江戸川花火大会、佐渡前決起集会、と日に日に本番が近づく。 でも、昨年に比べ気負いはなく地に足の着いた感じである。 一緒に出場するチームメイトの事も思い浮かべる。
・IMジャパンでの失意とふくらはぎ痛を抱えたまま挑戦する怪鳥。
・果敢にもAタイム(アストロマン)に挑戦するPE副怪鳥。
・仕事が忙しくて練習ができずナーバスな横Gさん。
・エイジ2連勝をねらうタッキーさん。
・IMハワイへの中期計画を着々とこなすドス鯉さん。
・IMジャパン直前、絶好調でのまさかの交通事故。ジャパンを棒に振り、  それでもIMジャパンに勝るとも劣らない佐渡Aに挑戦するGTI植木さん。
・始めてミドルディスタンスに挑戦するカエルちゃん。
それぞれの境遇と想いを胸にスタートに立つのである。 僕も真摯な気持ちで、フェアプレーでレースに望もうと心に誓う。 昨年の様な事故は誰にも味わって欲しくない。 チームメイトと応援団、大会関係者全ての無事と健闘を天に祈る。 そして僕自身、今年こそは必ず愛妻の待つゴールに帰ってくるぞ!と。

【胃の上大将の佐渡島屁の満:後編】

9月4日(土)、早朝、関越トンネルを抜け、寺泊港へ。 9:30「えっさ丸」で佐渡島へ渡る。 出港は独特の緊張感がある。 船上では、なぜかとてもレースが待ち遠しくてワクワクしたが、今から 気合を入れてたらスタート前に疲れちゃう思い、レースの事は極力考 えない様にした。 赤泊港に到着。 アミューズメント佐渡で、どす鯉さん、GTI植木夫妻と合流。固い握手。 受付→開会式→会場視察→どすさん宅訪問→ゼッケン張り(僕はこの瞬 間がとても好きだ。)→夕食、淡々と時が過ぎる。 一時、雨がぱらつくこともあり、明日は涼しくなりそうだ。 あまり眠たくなかったが、レースに備えて20時過ぎには寝床に着いた。 ・・・・・・・・


9月5日(日) AM3:50起床。おにぎりを3つ食べる。 最終受付会場の小学校体育館で、レースNo.を腕にペイントしてもらう。 No.187。 AM6:00。国際Aタイプスタート! 干潮なのか、かなり遠浅である。 Aタイプは道程が長い。皆ゆっくりと沖に向かい歩いていく。 一人目、二人目、そして次々と水しぶきをたて大海原へ身を投じて行く。 幻想的なシーンであった。 PEさん。どすさん。GTIさん。気をつけて行ってらっしゃい。 ウェットスーツのバックファスナーを信ちゃんに締めてもらい、 ウォームアップエリアへ。 入水すると緊張感がほぐれ、スタートに対する覚悟が決まる。 (というかあきらめがつく)


AM7:00。国際Bタイプスタート! Aタイムとは異なり、皆ダッシュで沖へ。 僕も抜き足で走る!しばらく浅い!しばらく走る!息が上がる。 頭から、イルカとびで入水!恒例のバトル開始! 昨年は肩をつかまれ、沈められ、僕の上をライバルが乗り越えて行ったが 今年は大した争いもなく順調に距離を稼いでいく。 慌てず、大きな泳ぎを心がけた。第1ブイをターン。体調は良い。 多少の蛇行はあったが位置取りもまあまあ。気持ち良く泳げている。 第2ブイをターン。瀕死のAタイプのスイマーを追い抜きながら、スイムゴー ルを目指す。 スイムアップ。去年より絶対に速い思った。けど。 結果は昨年36分<今年39分。順位は昨年65位>今年46位。あれれ? 応援団に聞いたら、集団全体が蛇行していたとの事。潮流が影響したのだ ろうか?


さてトランジッションである。今回は事前のイメージトレーニング充分!! GTIさん直伝の「ウェット中にたたみ込んでいたマイティジャージの着込み」 も、走りながらスムーズに行えた。ラックにはまだ沢山のバイクが。 調子でてきたぞぉ〜。 信ちゃんの応援を横目に感じながら、バイクを踏み込んでいく。 加速27km/h→右折→加速33km/h→右折し、佐和田の大通りに出る さらに加速し37km/h。極めて注意深く周囲に目を配る。来た! 昨年の落車地点の「磯野モータース」だ。感慨深いが、いともあっさり通過。 ある意味、ここからが僕の佐渡スタートである。 鼻の奥と、喉が海水臭い。ボトルのCCDを飲む。 佐渡島のくびれをなでて海岸線に出る。小雨がぱらつき風もややきついが すばらしい景色である。35km/hを下回らない様にスピードをコントロール する。 あまり書きたくないが、やはり触れざるを得ない印象深かった出来事がある。 それは悲しいかなドラフティングのひどさである。 突然10名程の大集団が後方から襲ってきた。一瞬何事か?!と思った。 悔しいので集団の横をかなり間隔を開けて追い抜いた。 で、しばらくセンターラインぎりぎりを走ってやった。これで後ろに着いてき たら間違いなくそいつは確信犯だ!と言わんばかりに・・・。 でも、チームタイムトライアルのごとく先頭交代をしながら走る集団を相手 にするには僕の脚力は足らなすぎた。 追い抜かれ、徐々に水を開けられ、終いには見えなくなってしまった。 しばらくして、また10名くらいの大集団が・・・。半分呆れたが「僕は今トラ イアスロンをしているんだ。」と自分に言い聞かせて単独走行をした。

 ひょっとして、このままタッキーさんに追いつかれずにバイクフィニッシュで きるかな?とニマニマしていたその時。急に後方から光が差し込んできた。 ピカァーっと、タッキーさんがいつものビッグギアで追い抜いていく! 「来い!!!」っとタッキーさん。「おう!」っと僕は答える。 でも、着いていけるぐらいなら、追い着かれてないにょ〜(悲)。 じわじわ差が開く。 で、タッキーさんは、先ほど自分を追い抜いていった集団に後ろから突っ 込んで、そのまま先頭に踊り出て、ぶっちぎろうとしている。 集団は「え?!誰に着いていけばいいの?」ってな感じで、明かに翻弄さ れている。僕は後方から「男!滝沢壮一郎!」を見て微笑ましくなった。 そして、もっと自分も強くならねば!と思った。 冷静に今の距離を確認。まだ50km地点である。気合を入れなおすべく 自分に再度スタートの号砲を鳴らした。 集団からぽろぽろと集団からちぎれた人達が。「残念!!」と心の中で叫 んで追い抜いていく。 いよいよ小木の坂である。想像よりは軽快に登っていける。 僕の後ろにいた”ドラ(フティング)えもん”も坂でちぎれていった。「残念!」 バイクフィニッシュはもうすぐだ! でも、勝負はランからだ!と再度自分に「落ち着けと!」と言い聞かせる。 八幡館前には応援団がMIGHTYフラッグを手に声援を送ってくれている。 そこを直角にカーブし、バイクフニッシュを目指す。 商店街では、猫がでてきやしないかと再度目を凝らした。 フィニッシュ直前で、前方から光が!ランをスタートしたタッキーさんである。 想像よりは差が開いていない。

 さて、いよいよ練習の成果を試すランスタートである。 臀部、太股、あしのすべての筋肉が硬直している。 まだ練習が足らなかったか?と思うが、諦めずに歩を進める。 うん!いける!野尻湖よりは、はるかに速い。 八幡館前を通過。信ちゃんが少しの間併走してくれる。 「後続にどんどん抜かれちゃうよ〜。」と僕が言うと。「大丈夫よ、これか ら抜き返せばいいのよ!」と信ちゃん。ありがとう。 エイドステーションは本当にありがたい。 ボランティアや沿道の応援は本当に励みになる。 脚も、身体も辛い。でも、自分はなんて贅沢な幸せな時間を味あわせても らっているのだろう。という気分になった。 折り返し手前で、周囲が急に明るくなった。タッキーさんである。 (ネタがくどい?) 正午の時報が鳴り響く。5時間経過。絶対6時間は切るぞ! 折り返し。脚が快調にクェ〜っ動く様になってきたところで安田怪鳥と交差! ラスト5km。カエルちゃんと交差!「速いよ〜」とカエルちゃん。大丈夫! 君も充分速いよ!と心の中で思いながら「頑張れ〜!」と声を掛ける。 八幡館前を通過、いよいよゴール間近!商店街に入る。 放送で「187番。イノウエシンイチ選手です。」”選手”という言葉がなんだ かもったいない。

最終コーナーを曲がる。自然と涙が込み上げてくる。 ゴールの競技場(?)へ突入。あまりの人の多さに、せっかくの涙が止まる。 信ちゃんが脇から出てきた。手をつなぐ。一緒にゴールへ! 信ちゃん。めっちゃ速い! 念願のゴールは目前。信ちゃん速すぎ! 前の選手がゴールテープを切ったばかりで、慌てて係の子がテープを引きな おしてくれる。 ゴール。念願のゴール!。信ちゃんの肩を抱きしめる。 ありがとう!

以前。自転車のロードレースのみやっていた頃に、 トライアスリートのレースレポートを読んで、 あまりの自己陶酔さにびっくりしたことがあった。 でも、今まさに自分が自己陶酔している。 トライアスロンはそういう性質の競技なのだろう。 いつか僕も、アイアンマンディスタンスに挑戦し完走したい。





  5時間51分06秒

    2004年の夏の

      最高に気持ちいい瞬間でした。

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